昇格試験は時代遅れ?それでも企業が試験を行う理由と受験者にとってのメリット

目次

昇格試験はもう時代遅れ?

「昇格試験なんて時代遅れ」
「管理職になっても責任が増えるだけでメリットがない」

——こうした声を、近年よく耳にするようになりました。
特に若い世代の間では、「出世したくない」「管理職にはなりたくない」 という意識が広がっています。

実際、「管理職は割に合わない」「プレイヤーとして働き続けたい」と考える人が増えたことで、企業側も人材登用のあり方を見直しつつあります。それに伴い「そもそも昇格試験って必要なの?」という疑問が生まれているのです。

しかし、それでも多くの企業は昇格試験を続けています。
なぜ企業は、時代の変化があっても昇格試験を実施し続けるのか?
そして、試験を受ける側にとって、本当にメリットはあるのか?

この記事では、試験運営や面接官の経験を持つ筆者が、企業側の意図と受験者にとっての価値を深掘りしていきます。
「昇格試験を受けるべきか?」と迷っているあなたの背中を、少しでも押せる内容になれば幸いです。

試験運営・面接官経験者が語る!企業が昇格試験を行う理由

「昇格試験なんて形骸化しているのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、企業が昇格試験を続けるのには、明確な理由があります。
単なる儀式ではなく、会社全体の公平性や組織運営にとって重要な役割を果たしているのです。
ここでは、企業が昇格試験を実施する4つの理由を解説します。

① 適性のある人材を適切なポジションに登用するため

昇格試験は、単なる知識テストではありません。
企業は、各等級に求められるスキルや適性を持った人材を見極める場として活用しています。

例えば、優秀なプレイヤーが必ずしも優れたマネージャーになれるとは限りません。
管理職には、チームをまとめ、部下を育成し、組織の成果を最大化する能力が求められます。
試験を通じて、その適性を客観的に判断することで、企業は「適材適所」の人事を実現しようとしているのです。

② 公正な処遇を実現するため

もし昇格試験がなかったら、どのように管理職を決めることになるでしょうか?
「上司に気に入られたから昇格」「年功序列で自動的に昇格」といった不透明な基準では、社員の納得感を得るのは難しくなります。

そのため、多くの企業は公正な評価基準を設け、試験によって昇格の基準を明確にすることで、不公平感をなくそうとしています。昇格試験があることで、「なぜあの人が昇格したのか?」という疑問が生まれにくくなり、組織のモチベーション維持にもつながるのです。

③ 受験者の成長を促進するため

昇格試験は、単なる合否判定のためのものではありません。
受験者にとっては、自分の知識やスキルを整理し、成長する機会にもなります。

試験に向けて業務知識を復習したり、マネジメントの勉強をしたりすることで、仕事に対する視野が広がります。
実際、「試験勉強を通じて、これまで意識していなかった視点に気づけた」という人は少なくありません。
企業側も、この「学ぶ機会」としての側面を重視しているのです。

④ 人事部として合否に関する説明責任を果たすため

試験があることで、企業側は結果に関する説明をしやすくなります。
これは試験運営・面接官経験者から、率直に申し上げてとても重要な点でした。

例えば、もし試験がなければ、「なぜ自分は昇格できないのか?」という不満を持つ社員に対して、明確な説明をするのが難しくなります。
試験の結果があれば、「ここが評価基準に達していなかった」「改善すべきポイントがある」といった具体的なフィードバックが可能になります。

これは受験者にとってもメリットと言えます。
試験を通じて「自分のどこを伸ばせばよいのか」が明確になり、今後の成長につなげやすくなるからです。
また、受験者を推薦した部署や現場の上司にとっても結果のフィードバックは今後の育成の観点から非常に重要となります。

昇格試験を受験するメリット

昇格試験はネガティブに捉えられることが多いですが、受験者にとっても大きなメリットがあります。
ここでは、昇格試験を受けることで得られる主なメリットを3つ紹介します。

① スキルアップにつながる

昇格試験を受けるためには、業務知識を整理し、マネジメントに関する理解を深める必要があります。
その過程で、普段の仕事では意識しなかった視点や必要な知識を学ぶことができるのです。

例えば、管理職には「部下の育成」「チームの目標設定」「会社の方針を理解し、現場に落とし込む力」などが求められます。昇格試験の勉強を通じて、こうしたスキルを学び、実践的に活かせるようになります。

また、論文や面接の準備をすることで、自分の考えを論理的に整理し、伝える力も身につきます。
これは、昇格後に役立つだけでなく、今の仕事でも大いに活かせるスキルです。

ちなみに、私が係長試験(管理職の一つ前)を受けた際に、勉強して一番役に立ったと感じているのは「財務会計」です。
それまでの苦手意識が払拭できましたし、何より管理職としても非常に重要な知識だったからです。

② キャリアの選択肢が広がる

「管理職になりたくない」と考える人も多いですが、昇格することで、より大きな裁量や新しいキャリアの道が開ける可能性があります。

例えば、昇格することで経営に近い立場になり、会社の意思決定に関与できるようになります。
また、管理職としての経験を積むことで、他の企業への転職の際に市場価値が上がるというメリットもあります。

さらに、最近では「管理職=マネージャー」だけではなく、専門職やプロフェッショナル職へのキャリアパスが用意されている企業も増えているため、昇格後に別の道を選ぶことも可能です。
「とりあえず昇格しておく」ことで、将来の選択肢を増やせるのは大きなメリットといえます。

③ 収入が上がる

昇格すれば、基本的に給与や待遇が向上します。
昇格によって年収が数十万円〜数百万円単位で上がるケースも珍しくありません。

また、昇格することで賞与(ボーナス)の算定基準が変わることもあります。
管理職になれば、成果に応じて高いインセンティブが得られる制度を採用している企業も多いため、長期的に見ると昇格しない場合との差は大きくなります。

例えば、30代の時点では年収の差がわずかでも、40代・50代になったときに大きな違いが生まれることがあります。「昇格するかしないか」で生涯年収が大きく変わる可能性もあるため、将来的な視点で考えることが重要です。

まとめ(迷っている人へ、昇格試験はチャンス!)

昇格試験は「面倒」「やらされている」と思われがちですが、受けることで得られるものは多くあります。

実際に受験した人の中には、「試験勉強を通じて成長を実感できた」「管理職も悪くないと思えた」 という声も少なくありません。試験を受けることで、自分の強みや課題を明確にし、今後のキャリアを考えるきっかけにもなります。

もし迷っているなら、一度チャレンジしてみるのも選択肢の一つです。
結果がどうであれ成長につながります。

昇格試験は、あなたの可能性を広げるチャンスです。ぜひ前向きに挑戦してみてください!

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